日記-19
我々は文明に甘やかされた子供だと気づきを得る。故に、文明から自立し、文明を利器として扱える様になった者を、大人と呼ぶ。
淘汰されるべき馬鹿はいなくなった。喜ばしい。人死にが減るのは快い。流れの終着点を見ずに済む。野垂れ死んだ体など不快である。
代わりに、賢人も少なくなった。文明に飼い殺される人間が、今や一般である。
不可思議な進化であること!人間は進化を早めるあまり、精神の発達を文明の発達が追い越してしまった。
最早文明を人が扱うには、熟達した精神を持たねばならない。それほどまでの技術に発展した。
だからこそ、死なない馬鹿と器用な賢人の差が明確になる。
多くのものがまだ子どもである。大人にならねばならない。
文明に飼い殺される側から、文明を扱う側にならねばならない。
頭を使わなければならないのだ。それが人の生きる道であるから。
さて、初めて手紙を書く行為をした。
不思議なもので、書くと決めていたことよりも、さらさらと、次の文章が浮かんでくる。
手紙の魔力、とでも言うべきであろうか。キーボードではなかった感触である。ペンを握り、紙に書くからこその頭の働きである。
とてもよろしい。やはりアナログに生きる人間であると再確認させられた。